外来だより

外来だより 2017年 8月号

2017年08月04日

立秋とは名ばかりの残暑ですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか?子供達にとっては夏休み中盤、海水浴、キャンプ、夏祭り、花火など、まだまだ楽しみがたくさんですが、ぼちぼち宿題に焦り始めているころではないでしょうか。大人の皆様にとっては、猛暑の中、仕事の通勤、屋外の仕事など大変な毎日ですね。熱中症は大丈夫でしょうか。高齢の方々は室内でも熱中症をおこす事が多いので、室内に入れば安心と思わず、水分補給、適度な温度調節など予防対策をしっかりして夏をのりきりましょう。

さて話は変わりますが、皆さんは、「サルコペニア」と言う言葉をご存知でしょうか?ギリシャ語でサルコは「筋肉」ペニアは「喪失」と言う意味で、それを合わせた言葉だそうです。筋肉が衰える「サルコペニア」は特に痛みなどの自覚症状がないため、気付かないうちに進行するらしく、敢えて症状としてあげるとすれば、筋力低下により、①飲み物等のキャップがあけられない②物をよく落とすようになった③転びやすくなった等ですが、どれも加齢に伴う筋肉量の減少で筋肉の低下により進行するそうです。そのまま放置すると、ひどい場合には寝たきりになるなど、要介護状態になる可能性があります。また、手足の筋力ばかりでなく、喉の筋肉低下により『むせる』事が多くなる嚥下機能低下もその症状です。飲み込む力の低下で食物、細菌が気管から入り肺で炎症を起こしやすくなってきます。高齢者の方は嚥下性肺炎を発症する危険もでてきます。

若い世代の方々は、リモコン操作やパソコンを使ってのデスクワークの多い世の中、日々の生活の中で運動不足、体力不足を感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。若いから大丈夫と思いがちですが、近い将来、自分達にも・・・。全く無縁な話ではなさそうですね。

この「サルコペニア」の予防としては、運動と食事の両面から取り組む事が大切です。筋力の維持、向上をめざして、座った姿勢の多い方は筋肉に負荷をかける動きを日々取り入れて生活をすると良いでしょう。むせる事が多くなってきた人は舌を口の外に出して動かす嚥下体操が効果的です。また食事面では野菜中心ばかりでなく、筋肉をつくるのに必要なタンパク質(肉、魚)、骨を丈夫にするビタミンDを補給する事が大切です。バランスの良い食事、自分にあった無理のない運動を日々心がけ健康に過ごしたいですね。暑い夏だからこそ、元気な体づくりをしましょう。(S・M)

おにぎりのキャラクター「焼きおにぎり」